令和4年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(アジア大洋州国・CBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入に向けた調査事業)調査報告書

掲載日: 2023年9月1日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易振興課
委託事業者: ソラミツ株式会社
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報告書概要

この報告は、アジア大洋州諸国におけるCBDC(中央銀行デジタル通貨)導入に向けた事業実施可能性調査について書かれた報告書である。令和4年度においてソラミツ株式会社が実施した調査では、ベトナム、フィリピン、フィジー、ラオスの4か国を対象として、各国の金融制度の実情や決済システム、決済インフラの機能と実態について包括的な調査が行われた。調査項目は市場調査、競合動向調査、ニーズ調査、事業実施可能性調査、事業化の検討の5つの大項目に分かれており、ブロックチェーンを活用した決済システム導入による効果と実務上の課題を洗い出すことを目的としている。

ベトナムについては、人口9762万人、GDP3406億USDの経済規模を持つ国として調査されており、近年Covid-19の影響で成長率は鈍化したものの他国に比べて堅調な成長を維持している。金融セクターでは銀行支店数の減少傾向が見られる一方で、ATM台数やクレジットカード・デビットカードの使用、電子取引の利用が増加傾向にある。決済システムについては、ベトナム国家決済株式会社NAPASが運営する決済インフラやViet QRシステムなどの調査が実施されている。

ラオスについては、金融包摂に関する課題が特に顕著であり、クレジットカード保有率が1%、デジタル決済利用者比率が21%と低水準にとどまっている。銀行セクターでは国営銀行2行、合弁銀行5行、民間銀行8行、子会社銀行8行、外国商業銀行21行が存在し、主要な決済システムとしてラオス中央銀行運営のLaPASSとLAPNet社運営のLAPNetが挙げられる。ITベンダーについては、CMA Small Systems、AIF Group、Sysmatik IT solution、Sirichalernxayなどの企業が金融システム開発に携わっている。本調査は各国における金融包摂の推進と国内外送金の活性化に向けた決済システム導入の実現可能性を検討するものであり、CBDC導入による地域金融システムの発展可能性を探るものとなっている。