令和4年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託(インドネシア国・マルチテナント型の統合交通決済プラットフォーム事業に係る調査事業)
報告書概要
この報告は、インドネシア国におけるマルチテナント型統合交通決済プラットフォーム事業の実施可能性について書かれた調査報告書である。ジャカルタほどの人口規模や予算を持たない地方都市が、テナントとしてサービスを利用できる統合交通決済基盤の構築を目的としている。調査は市場調査、市場環境分析、システム構成の検討、データ利活用の検討、事業収支およびファイナンスの検討、事業化に向けたスケジュールおよび実施体制の検討という6つの項目で実施された。調査対象都市として、ジャカルタを除く人口上位20都市から、マルチテナント型交通決済基盤事業への関心度や都市内公共交通の有無を基準に、ジョグジャカルタ、デンパサール、パレンバンの3都市を選定した。パレンバンではLRT、バス、フィーダー交通のネットワーク形成が進んでいるが、ジョグジャカルタやデンパサールなど主要交通手段がバスのみの都市では公共交通利用が限定的であることが確認された。各都市においてキャッシュレス決済の導入が進んでいることが判明し、システム環境においても通信ネットワークやデータセンター環境に課題がないことが確認された。事業収支については、交通事業者からの決済手数料を基本収益とし、不足分を公的補助でカバーする前提で事業スキームを検討した。事業化に向けては、中央政府である運輸省が統合決済基盤導入を望んでおり、パイロット地域としてパレンバンやマカッサルが候補として挙げられた。統合決済基盤導入により、アクセシビリティ、シームレス性、合理性、時間信頼性、データ駆動型の効果が期待され、モーダルシフトや交通渋滞・CO2排出への影響、より良い意思決定というインパクトが想定される。
