令和4年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(消費者データを活用した政策立案手法の調査及び開発事業)報告書

掲載日: 2023年9月7日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費経済企画室
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令和4年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(消費者データを活用した政策立案手法の調査及び開発事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、消費者データを活用した政策立案手法の調査及び開発について書かれた報告書である。経済産業省の令和4年度事業として、株式会社インテージリサーチが実施した調査研究の成果をまとめたものとなっている。

現代の商取引環境は新技術の発展や働き方の多様化、環境変化により大きく変容しており、従来の供給サイド施策に加えて消費サイドの実態把握が重要となっている。しかし消費サイドの有効な測定手法が確立されていない状況を受け、本事業では政府統計に加えて民間企業が保有する消費者データを活用した効果測定手法の開発を目的としている。

事業の実施内容として、まず消費動向調査等の政府統計11種と民間調査統計37種のデータ一覧を作成し、政策立案に有用な指標・データを検討した。その中から「全国小売店パネル調査」と「全国消費者パネル調査」のデータを選定し、これらを活用したデータ基盤を構築している。さらに政府が政策立案過程で円滑に活用できるTableauベースの分析ツール・ダッシュボードを開発し、運用補助を行った。

開発された分析ツールには15分類74品目の消費データが搭載され、小売店については地域別・業態別、消費者については地域別・性別・年代別・世帯年収別の詳細な分析が可能である。データ期間は2018年から2022年までの5年間の月次データと2022年の週次データを網羅している。

具体的な分析事例として、物価高騰影響3テーマと新型コロナウイルス感染症影響2テーマの計5パターンについて実証分析を実施した。食用油や主食、冷凍食品の物価影響分析では、価格上昇に伴う消費者行動の変化を詳細に把握できた。また衛生用品や化粧品のコロナ影響分析では、マスクの消費行動大変化や化粧品の商品別回復格差を明確に捉えることができている。

総括として、民間データ活用により政府統計では把握困難な深掘り分析が可能となり、課題となる消費者層の抽出や対応施策検討に役立つ可能性が示された。今後の展開として、リアルタイムでの消費動向把握と即座の有効施策立案が求められる中で、政策のアジャイル化とEBPMによる施策立案・評価推進への貢献が期待される。実践的活用事例の蓄積を通じて、リアルタイムデータ取り込みや対象分野拡大など更なる発展の可能性が示唆されている。