令和4年度化学物質安全対策「大学・公的研究機関と連携した化学物質管理高度化推進事業(ライフサイクルアセスメントの視点に基づく化学物質管理のあり方)」調査報告書

掲載日: 2023年9月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課
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令和4年度化学物質安全対策「大学・公的研究機関と連携した化学物質管理高度化推進事業(ライフサイクルアセスメントの視点に基づく化学物質管理のあり方)」調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、ライフサイクルアセスメントの視点に基づく化学物質管理のあり方について書かれた報告書である。近年の国際的な化学物質管理動向として、国連環境計画では製品のライフサイクル全体を通じた化学物質管理の議論が進められ、欧州連合では予防的アプローチによる包括的な化学物質管理制度の強化が図られている。これらの国際基準に対応するため、日本においても従来の製造・輸入時のみならず、サプライチェーン全体を通じた化学物質の適正なリスク管理が求められている。しかし現在の日本では、化管法による安全データシートと廃棄物処理法による廃棄物データシートが異なる制度で管理されており、効率的な情報伝達に課題がある。また現行のPRTR制度では製品に含有される化学物質の把握や、製品が環境中に廃棄された場合のリスク評価が不十分である。本研究では二つの課題を設定し、課題1では企業アンケート調査による統一情報スキーム導入の阻害要因分析と、化学物質フットプリントの応用例として風力発電設備のライフサイクル評価を実施した。アンケート結果から伝達様式統一の主な課題はコスト面であることが判明し、風力発電設備については将来的に化学物質由来のヒト健康影響が懸念されることが明らかとなった。課題2では国境を超えた消費・廃棄段階における化学物質リスクを評価し、日本から輸出される製品に含まれる化学物質が輸入国で廃棄される際の環境汚染リスクを検討した。物質代替により30年後にはリスクを千分の一以下に削減可能であるが、中古製品輸入規制の違いによりリスク減少時期に差が生じることが分かった。化学種解析では交差点等でヒト健康リスクの高い3価アンチモン化合物の存在が確認され、代替物質のスズについてもリスク評価の必要性が示された。