令和4年度コンテンツ海外展開促進事業(映画産業における制作現場の適正化に向けた作品認定制度の実証に関する調査)報告書

掲載日: 2023年9月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局コンテンツ産業課
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令和4年度コンテンツ海外展開促進事業(映画産業における制作現場の適正化に向けた作品認定制度の実証に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、映画産業における制作現場の適正化に向けた作品認定制度の実証について書かれた報告書である。経済産業省が令和4年度に委託した事業として実施され、映画制作現場の劣悪な労働環境の改善と適正化を目指している。近年の映画産業はデジタル時代の到来により変革期を迎えており、動画配信プラットフォームの普及や映像コンテンツの需要増加により制作現場の負担が増大している状況がある。

実証事業では映画製作者連盟の協力を得て4作品を対象とし、作品認定制度の効果を検証した。制作現場の適正化基準として契約書の事前交付、適正な予算設定、休養日の確保、安全管理体制の構築などを設定し、実際の撮影現場での実行可能性を評価した。また制作会社とフリーランス21名に対するヒアリング調査とフリーランス78名への アンケート調査を実施し、制度導入に対する現場の反応と課題を把握した。

作品認定制度導入に関する調査では、認定制度検証委員会、スタッフセンター部門検討委員会、日本映画制作適正化機構準備ワーキンググループの3つの会議体を設置し、制度の具体的内容を検討した。特に日本映画制作適正化機構の設置とスタッフセンター機能の運営について詳細な検討が行われた。これらの会議では審査基準の策定、ガイドラインの作成、協約の締結、事業計画の検討などが議論された。

実証結果として、契約書の事前交付や完全休養日の確保に課題が見られたものの、多くの項目で高い達成度を記録した。特に安全管理については研修に関する事項が抽象的であったため評価にばらつきが生じた。フリーランスへの調査では制度導入により労働環境の改善効果が認められる一方、運用面での負担増加や制度の認知不足といった課題も明らかとなった。最終的に映画業界各団体による協約締結と調印式の実施により、作品認定制度の本格導入に向けた基盤が整備されたとしている。