令和4年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(地球温暖化問題を巡る国際動向調査(気候変動枠組条約(UNFCCC)))調査報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度に実施された地球温暖化問題を巡る国際動向調査について書かれた報告書である。気候変動枠組条約の下で開催されたCOP27における交渉結果とパリ協定の運用状況について詳細に分析している。COP26で採択されたグラスゴー気候合意の継続性を踏まえ、世界全体の温室効果ガス排出削減に向けた緊急的な緩和野心の引き上げと実施に関する作業計画が新たに設立された。また、ロス・ダメージに対処するための資金アレンジメントが正式な議題として採択され、途上国からの強い要請に応える形となった。グローバル・ストックテイクの実施状況については、各国のNDCを統合した報告書が作成され、現在提出されている全てのNDCを実施しても2030年の世界全体のGHG排出量は2010年比で13.7%増加するという深刻な状況が明らかになっている。主要国の動向については、米国、欧州連合、英国、中国、インドの気候政策と国際交渉における立場を詳細に分析している。インドについては、原子力発電の導入計画、電気自動車の普及政策、省エネ達成認証取引制度から炭素市場への転換構想といった国内政策に加え、米印気候・クリーンエネルギーアジェンダ2030パートナーシップなどの対外政策についても言及している。さらに、WTO貿易と環境委員会において、EUの炭素国境調整メカニズムに対してインドが提出した意見書についても紹介されており、環境措置を保護主義的な非関税措置として利用することへの懸念が表明されている。
