令和4年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(CDMの運用に係る方法論に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、二国間クレジット制度(JCM)の推進に資するため、クリーン開発メカニズム(CDM)の方法論等に関する調査を行った報告書である。
我が国が推進するJCMは、低炭素技術の普及等による温室効果ガス排出削減を適切に評価し、京都議定書に基づくCDMを補完して地球規模での温室効果ガス排出削減・吸収行動を促進する仕組みである。パリ協定第6条においても市場メカニズムの活用が予定されており、CDM理事会の機能が何らかの形で引き継がれる可能性があることから、方法論パネルにおける議論・作業状況の把握が重要となっている。
本調査では、2022年度に開催された第88回から第90回までのCDM方法論パネルの動向を中心に調査を実施した。特徴的な検討事項として、再生可能エネルギー起源水素製造に関する新規方法論NM0381、水素燃料電池自動車を対象とした小規模CDM方法論SSC_NM107、系統連系再生可能エネルギー発電方法論ACM0002の蓄電システム対応改訂などが挙げられる。また、市場浸透率に関するコンセプトノートでは、技術の自動的追加性判断基準として新規販売量の2.5%未満または保有ストック全体の1.5%未満という基準が提唱された。
さらに、JCMに対するインプリケーションとして、新規参加国におけるCDMプロジェクトの動向、パリ協定第6条4項監督委員会における検討状況、国際航空のオフセット制度CORSIAにおけるクレジットの扱い、ボランタリークレジット市場の動向についても調査を行った。これらの調査結果は、JCMの在り方の検討に資する重要な情報として位置づけられている。
