令和4年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(ルール形成戦略に係る調査研究)循環経済(サーキュラーエコノミー)のルール形成戦略に係る調査研究調査報告書
報告書概要
この報告は、循環経済(サーキュラーエコノミー)のルール形成戦略について書かれた報告書である。世界的な資源制約や廃棄物処理問題が顕在化する中、大量生産・大量消費・大量廃棄の従来型経済システムが限界を迎えており、欧州を中心に循環経済への移行が戦略的に進められている状況を背景としている。本報告書では、我が国の産業・貿易構造に適した「資源自律経済圏」の実現を目指すべきとしており、日本単独での循環経済実現は困難であることから、経済連携協定等を締結している印度太平洋地域諸国との連携による循環経済実現が必要であると提言している。資源自律経済の実現に向けて、資源・製品のライフサイクルに携わる企業群が連携した循環経済型ビジネスの推進が重要であり、個社単位の取り組みでは局所最適化に陥る問題を指摘している。報告書では、循環経済型ビジネス実装に向けた課題解決のための25のアクションプランを策定しており、これらは企業の経営資源(資金的資源、人的資源、物的資源、情報的資源)と事業者間で共有すべき共通インフラ(ITシステム、ルール)の観点から構成されている。政府主導、企業主導、政府・企業・大学等協働の取り組み方向性とその手法例を示している。循環経済型ビジネスの具体化には、コンソーシアムによる管理と国際ルール形成、アクションプランに基づく経営計画の具体化が重要な鍵となるとしている。国際市場での比較優位獲得のためには、循環経済型製品・サービスの価値可視化や企業群での取り組み評価、循環経済型設計のあり方等に関するISO等新たな国際ルール形成が重要であると結論付けている。