令和4年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(中小事業者を対象とした高圧ガス保安法の効率的な保安確保に向けた調査について)調査報告書

掲載日: 2023年10月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ高圧ガス保安室
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報告書概要

この報告は、中小事業者を対象とした高圧ガス保安法の効率的な保安確保に向けた調査について書かれた報告書である。高圧ガス保安法の対象となる事業者には第一種製造者約1万5千をはじめ多様な主体が存在し、最近消費段階等において死亡事故が複数発生していることを踏まえ、中小事業者の保安レベル底上げが重要な課題となっている。中小事業者においては人的リソースが十分とは言えない中で保安業務を遂行しており、2021年12月の産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会最終とりまとめでは、中小事業者向けインセンティブ制度の検討や省力化のためのデジタル技術の積極的な活用を通じ、保安レベル全体の向上を図ることが重要であるとの指摘があった。

本事業では中小事業者の保安レベル向上の施策に繋げるべく、中小事業者向けインセンティブ制度のあり方検討と省力化のためのデジタル技術の積極的な活用に向けた検討を行った。インセンティブ制度の検討にあたり、業界団体等の高圧ガス関係団体や事業者、地方自治体へのヒアリングにより中小事業者の実態把握及び高圧ガス保安法下での規制情報を収集し、得られた結果から論点整理や類似意見のグルーピングを行うことによりインセンティブ制度案を作成した。関係団体ヒアリングでは高圧ガス保安法一般則適用事業者に絞った検討を行うべきであること、規制緩和は慎重に行う必要があること、認定制度検討の際はインセンティブと認定要件のバランスが重要であることなどの示唆が得られた。地方自治体ヒアリングでは人的リソースの確保が深刻な課題となっていることや、溶接等補助的に高圧ガスを使用している事業者の場合、自身が検査の主体であるという認識が薄いといった実態が明らかとなった。

省力化のためのデジタル技術の積極的な活用に向けた検討では、主に日常点検向けアプリの要件検討のため、既存の産業保安関係のアプリ及びそのベンダーについての文献調査、各種団体等へのヒアリング調査を行い、得られた情報から最終的な高圧ガス用点検アプリの要件を検討した。アプリ機能については事業者のコストやニーズに合わせて選択できるよう、機能数に応じて複数グレードを設定するコンセプトでアプリ案を提案している。基本機能として日常点検結果の記録・チェックシート、定量データの分析、各種記録の出力を、その他の機能としてトラブル及び対応記録、定期部品交換記録と通知、各種検査時期通知、定期自主検査結果記録と書類作成、作業標準ライブラリ作成機能、教育訓練関係記録などを含む包括的なアプリ要件を策定した。アプリベンダーヒアリングでは、アプリ作成までの期間・費用削減の観点から、本事業で検討した高圧ガス保安アプリはゼロベースで作成するよりも既存の類似アプリを活用すべきであるとの示唆が得られた。