令和4年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(洋上風力発電設備における定期事業者検査方法等の検討)調査報告書

掲載日: 2023年10月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
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令和4年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(洋上風力発電設備における定期事業者検査方法等の検討)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、洋上風力発電設備における定期事業者検査方法等の検討について書かれた報告書である。令和4年度の新エネルギー等の保安規制高度化事業として、経済産業省電力安全課の委託により株式会社構造計画研究所が実施した調査研究の成果をまとめている。

背景として、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い洋上風力発電の計画・建設が進められているが、現行の電気事業法施行規則に基づく定期事業者検査の規定は陸上風力発電設備を対象として作成されており、洋上設備には対応困難な内容が含まれている。したがって、洋上風力発電設備の特性に適した保安規制制度の構築が求められていた。

本事業では、まず海外の洋上風力発電設備の運用実態について、欧州の先進国(デンマーク、イギリス、ドイツ等)を対象にヒアリング調査と文献調査を実施した。調査項目として各部の点検項目内容、事故・故障事例、点検合理化手法、海底ケーブルの点検内容等を設定し、海外の対応状況を把握した。また、海外および国内の海底ケーブル事故事例についても詳細な調査を行った。

次に、定期事業者検査とメンテナンスの考え方について整理を行った。現行の定検解釈の制定経緯と内容を分析し、保安規程による自主的メンテナンスと定期事業者検査による統一的メンテナンスの関係性を明確化した。また、風力発電設備のメンテナンスにおける点検周期の設定根拠や統一的解説による支持構造物の考え方についても検討した。

これらの調査検討内容の実効性を高めるため、学識経験者と産業界から構成される有識者検討会を3回開催し、専門的見地からの意見を収集した。有識者検討会では、定検解釈案の妥当性や実用性について議論が行われた。

最終的に、調査結果と有識者検討会での議論を踏まえ、洋上風力発電設備に適用可能な定期事業者検査方法の解釈案を作成した。定検解釈案では、最新機による項目内容の変更、雷対策重点地域の表記変更、検査実施上の前提の明確化、洋上特有の設備に対する検査方法の追加等が盛り込まれている。特に、下部構造や海底ケーブル関連設備の点検方法、水中部の潜水目視検査、海生付着物の確認等、洋上風力発電設備特有の検査項目が詳細に規定されている。