令和4年度産業標準化推進事業 戦略的国際標準化加速事業:ルール形成戦略に係る調査研究 ロボットフレンドリーな環境の実現に関するルール形成戦略の構築に係る調査
報告書概要
この報告は、ロボットフレンドリーな環境の実現に関するルール形成戦略について書かれた報告書である。人手不足やコロナ禍における三密回避のため、サービス業や三品産業においてロボット導入への期待が高まっているが、現在は特定企業を前提とした高機能・高コスト構造によって普及が阻まれている状況にある。この課題を解決するため、既存環境にロボットを後から導入するのではなく、業務フローや施設環境をロボット導入しやすい「ロボットフレンドリーな環境」へ変革することが必要であると提言している。
本報告書は、ロボット実装モデル構築推進タスクフォースで活動している施設管理TC、食品TC、小売TC、物流倉庫TCの4つの技術委員会における検討結果を標準化・ルール化するための戦略を策定したものである。調査では令和2年度および3年度の産業標準化加速事業の結果調査、国内外における動向調査、各TCへのヒアリング、類似・先端事例調査、カーボンニュートラル政策・制度調査、欧州および中国における標準化戦略調査が実施された。
技術開発に加えて標準化の推進が重要であり、ロボットの仕様収束を通じて市場をスケールさせ、価格を安価にして社会実装を加速させることが可能となる。凸版印刷の「TransBots™」、大成建設の「RoboHUB」、日本オーチス・エレベータとZMPの連携事例など、複数ロボットの一元制御や建物設備との統合接続による実証例が紹介されている。さらに、カーボンニュートラル政策との関連性や、EUおよび中国における標準化戦略の分析を通じて、国際的な標準化の動向についても検討が行われ、日本における戦略的な標準化推進の方向性が示されている。
