令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託事業(国内外のエネルギー動向に関する調査・分析・制作)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度のエネルギー需給構造高度化対策に関する調査について書かれた報告書である。
日本のエネルギー消費動向を分析すると、高度経済成長期にはGDPよりも高い伸び率でエネルギー消費が増加したが、1970年代の二度の石油危機を契機として製造業を中心に省エネルギーが推進され、その結果としてエネルギー消費を抑制しながら経済成長を果たしてきた。2005年度をピークに最終エネルギー消費は減少傾向にあり、2021年度は新型コロナウイルス感染症からの経済回復により最終エネルギー消費が2.0%増加した。
部門別のエネルギー消費では、1973年度から2021年度にかけて家庭部門が1.8倍、運輸部門が1.5倍に増加した一方、企業・事業所他部門は省エネの進展により0.9倍の水準で推移している。日本のエネルギー効率は1973年度の70PJ/兆円から2021年度には34PJ/兆円に半減し、大幅な改善を示している。国際比較において、日本の実質GDP当たりのエネルギー消費は世界平均を大きく下回り、欧州主要国と遜色ない水準を維持している。
エネルギー供給面では、1973年度に一次エネルギー供給の75.5%を石油に依存していたが、石油危機を受けて多様化が図られ、2010年度には石油40.3%、石炭22.7%、天然ガス18.2%、原子力11.2%となった。しかし東日本大震災後の原子力発電所停止により化石エネルギー消費が増加し、2021年度の石油割合は36.3%となっている。日本の化石エネルギー依存度は88.9%と他国より高く、そのほとんどを輸入に依存している状況である。石油の中東依存度は92.5%と高い水準を維持している。
電力化率は1970年度の12.7%から2021年度には27.2%まで上昇し、長期的に電力使用の拡大が続いている。エネルギー価格の国際比較では、日本のガス料金と電気料金は他国と比べて高位にあり、燃料・原料の輸入依存と安定供給の必要性が課題となっている。
