令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託事業(エネルギーに影響を与える国内外の経済社会動向に関する調査)報告書

掲載日: 2023年10月12日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁長官官房総務課調査広報室
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報告書概要

この報告は、エネルギー需給構造高度化対策に関する国内外の経済社会動向について書かれた報告書である。2022年2月のロシアによるウクライナ侵略を受けて、欧米諸国を中心とした対ロシア経済制裁がエネルギー分野にまで拡大し、世界全体のエネルギー需給構造と価格に大きな影響を与えた状況について詳細に分析している。欧州諸国はロシア産エネルギーからの脱却を進めるため、特にLNGへの需要が急激に高まり、世界中のLNG市場価格が急騰した。G7各国ではロシア産石炭や原油の段階的廃止に合意し、プライスキャップ制度も導入された。一方でロシア側も対抗措置として、非友好国への天然ガス供給にルーブル決済を要求し、拒絶した国への供給を停止した。さらにマレーシアのペトロナス社や米国フリーポートLNGプロジェクトでの設備トラブル、豪州のガス安全保障メカニズム延長など、他の供給減・需要増要因も重なり、世界的なエネルギー需給ひっ迫が発生した。長期的要因として、パリ協定以降の化石燃料上流投資の減少も指摘されている。報告書では、2050年カーボンニュートラル実現に向けたGX投資促進のため、GX経済移行債による国の支援と民間金融機関による積極的なファイナンスが必要であるとし、グリーン・ファイナンスの拡大とトランジション・ファイナンスへの理解醸成を強調している。公的資金と民間資金を組み合わせたブレンデッド・ファイナンスの確立や、TCFD開示を通じたサステナブルファイナンスの推進も重要な取組として位置づけられている。また燃料アンモニアを例に、国際標準化の重要性についても言及し、日本の技術優位性確保と新たな市場創設における競争力強化の必要性を示している。