令和4年度成長型中小企業等研究開発支援事業(中小企業技術基盤強化税制の活用促進事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業技術基盤強化税制の活用促進について書かれた報告書である。
令和4年度に実施された本調査事業は、中小企業の研究開発投資を促進するため、税制の認知度・理解度を高めることを目的としている。日本では資本金1億円以下の中小企業約170万社のうち約2割が研究開発を行っているにもかかわらず、税制を活用している企業は約6000社と全体の1割にも満たない状況である。この要因として、約30%の企業が研究開発税制の存在を知らないことが判明している。
調査は3つの業務から構成されている。第一に中小企業及び税理士に対する意識調査では、税制活用企業4社と非活用企業4社へのヒアリングを実施した。活用企業では税理士からの紹介や自社調査により制度を知り、人件費の吸い上げ方法などの課題を自社努力で解決していることが分かった。非活用企業では赤字のため活用できない企業や、制度の理解不足により活用に至らない企業が存在した。中小企業団体への調査では、制度の認知度の低さと、何が研究開発に該当するかの判断の困難さがボトルネックとして指摘された。税理士にとっても研究開発の捉え方など業務に関する知見が求められることから、制度の推奨がしにくい状況である。
第二に法人税申告支援サービス調査では、現在利用されている申告ソフトが税制控除の申告書類に対応していることを確認した。ただし研究開発にかかる人件費の抽出については、各社で独自の管理体制を構築する必要がある。
第三に税制活用促進のためのコンテンツ作成では、制度の認知度向上を最優先として親しみやすいデザインのパンフレットを作成し、控除額の事例や利用者の声を掲載した。10万部を印刷し、税理士会や公設試験研究機関など中小企業を支援する機関に発送した。また、パンフレットと連動したホームページも作成している。
