令和4年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(貿易管理業務支援システムのリバースエンジニアリング分析) 調査報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省における安全保障貿易管理業務を支援するシステムの構築に向けたリバースエンジニアリング分析について書かれた報告書である。防衛装備移転三原則等に基づく運用により、今後輸出管理が量的にも質的にも難化することが想定される中、現在利用されている安全保障貿易管理情報データベース(安保DB)はプロトタイプシステムの位置づけであり、業務用システム構築に向けた調査検討が必要とされている。本事業では、システム要件の調査・検討、システム要件定義書案作成、データ利活用の検討の三つを実施した。システム要件の調査では、安全保障貿易審査課、安全保障貿易管理政策課、安全保障貿易管理課の利用者及び業務の把握と分析を行い、各課室が管理する個別輸出許可申請情報、包括輸出許可申請情報、相談・インフォーム通知情報、企業情報等の十五種類の情報について運用実態を調査した。既存の安保DBやNACCSシステムの課題として、検索機能の不足、データ連携の問題、入力項目の不備等が明らかとなった。要件定義書案では、業務要件、機能要件、非機能要件を定義し、貿易管理業務支援システムへの統合イメージを策定した。データ利活用の検討では、個別審査案件の審査サポート機能についてPoCを実施し、約四千件のデータを対象に検証を行った結果、一定の妥当性が確認されたものの、審査の自動化を実現できるほどの精度は達成できていないことが判明した。今後のシステム設計・開発に向けては、要件定義の確定、設計内容の合意、移行計画の策定、テスト計画の作成等の課題が整理され、関係者間の十分な検討と調整が必要であることが示された。
