令和4年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(2050年カーボンニュートラル実現に資する革新的技術の研究開発・社会実装に係る構造転換効果と国際競争力等に関する調査分析)最終報告書
報告書概要
この報告は、2050年カーボンニュートラル実現に資する革新的技術の研究開発・社会実装に係る構造転換効果と国際競争力等に関する調査分析について書かれた報告書である。政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、CO2排出削減の観点から14分野の実行計画が策定され、その推進のため国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に2兆円の「グリーンイノベーション基金」が造成された。しかし外部有識者からは、分野やプロジェクトを横断する視点や、サプライチェーンの上流から下流に至るまでの相互連関を踏まえた俯瞰的な検討の必要性が指摘されている。本調査では、グリーン成長戦略で実行計画を策定した14分野における革新的技術の研究開発・社会実装について、基金で実施を想定している各プロジェクトの内容を念頭に置きつつ、分野間・プロジェクト間でのサプライチェーン等の相互連関、分野ごとの日本の国際競争力の動向等について情報収集・分析を行った。調査の結果、2050年脱炭素の実現にはエネルギー、マテリアル、CO2チェーン全体の連携が必要であることが判明し、現行プロジェクトは個別の技術要素の確立に主眼が置かれているものの、再エネ、水素・アンモニア、CCUSを中心にサプライチェーンを繋ぐ上で必要な技術に拡張余地があることが明らかとなった。特に再エネの系統安定化技術、水素製造から水素キャリア転換への接合技術、CO2フリー水素トラッキング技術などが重要な技術領域として特定された。また、カーボンリサイクル技術の中では建材や化学製品が比較的長期の固定化が可能であることが示され、産業全体を俯瞰した視点での各技術やプロジェクトの位置付け・相互連関分析の重要性が確認された。