令和4年度産業経済研究委託事業グリーンイノベーション基金事業に係るEBPMに関する調査最終報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省によるグリーンイノベーション基金事業のEBPM(証拠に基づく政策立案)に関する調査について書かれた報告書である。2050年カーボンニュートラル実現に向けて設立されたグリーンイノベーション基金は、10年間にわたり研究開発から社会実装まで継続的に支援する制度であり、各プロジェクトにはCO2排出削減効果と経済波及効果がアウトカム目標として設定されている。本調査では基金事業の成果最大化に向け、効果検証実施の手法確立を目的として三つの調査テーマが設定された。第一にアウトカム目標の測定方法の確立では、成果の社会実装、国際的競争力、経済波及効果、民間投資誘発の四種類のアウトカムについて測定指標の算定方法を整理した。第二に基金事業全体におけるCO2排出削減効果及び経済効果の期待値推計モデルを構築し、第三にこのモデルを用いてプロジェクト開始時点及び令和4年度における期待値推計を実施した。推計モデルでは想定プロジェクト効果にプロジェクト成功確率と普及確率を乗じて期待値を算出する手法を採用している。普及確率の算定においては、当初想定シェア、従来製品との競合、産業基盤の存在、規制や国際標準の影響といった要素を段階的に調整する仕組みを構築した。またプロジェクト間の関係性についても整理し、今後の政策効果検証に活用可能な基盤を整備した。
