令和4年度カーボンニュートラルに向けた自動車部品サプライヤー事業転換支援事業(地域支援拠点運営事業)~次世代自動車チャレンジ支援事業~報告書【公開版】
報告書概要
この報告は、公益財団法人いわて産業振興センターが実施したカーボンニュートラルに向けた自動車部品サプライヤー事業転換支援事業について書かれた報告書である。令和4年度において、東北地域の自動車産業界が急速な電動化に向けた変革を求められる中、岩手県内の自動車部品サプライヤーが抱える三つの主要課題として、電動車部品参入機会の不足、車載部品製造・供給のための管理体制の不足、カーボンニュートラル対応の遅れが明らかとなった。これらの課題解決のため、サプライヤーハンズオン支援事業として相談窓口設置、セミナー・実地研修の実施、専門家派遣支援を行い、また参入促進支援事業としてニーズ発信型およびシーズ育成型の支援を実施した。実施体制として、完成車メーカーや大手サプライヤーの経験豊富なOBらをコーディネーターに配置し、地域支援ネットワークを構築した。事業実績として、地域支援拠点開設セミナー1回、電動車構成部品学習セミナー2回、カーボンニュートラルセミナー2回、実地研修2回を開催し、相談受付50件、専門家派遣4社6回を実施した。令和4年度の活動により、域内中小サプライヤーがカーボンニュートラル・電動化による自社への影響を十分理解していない現状と、電動車部品参入可能性を模索する機会の不足という2つの地域課題が判明した。これを受けて令和5年度は、サプライヤーの発展段階に応じた短期・中期・長期の活動方針を策定し、より実務的な支援対応を目指すこととした。総括として、域内サプライヤーの意識変革は一定の成果を得たものの、実際の事業再構築・事業転換に向けた行動には結びついておらず、今後は最新の業界動向を把握しながら継続的な支援を行う必要があることが示された。
