令和4年度低レベル放射性廃棄物の処分に関する技術開発事業(原子力発電所等金属廃棄物利用技術確証試験)報告書
報告書概要
この報告は、原子力発電所から発生したクリアランス金属の再利用に関する技術開発および実証事業について書かれた報告書である。令和4年度に実施された低レベル放射性廃棄物の処分に関する技術開発事業において、クリアランス制度に基づき安全性が確認された金属廃棄物を実際の製品に加工し、電力業界外での再利用を実証する取組が行われた。事業では、クリアランス金属インゴットを用いてサイクルスタンドと照明灯という2種類の製品を製造し、福井県内の公的施設や高等学校での利用を通じて再利用の実現可能性を検証した。製造過程では厳格なトレーサビリティの確保と分別管理を実施し、各工程で放射線測定による安全性の再確認を行った。また、高校生との協働による理解促進活動や、メディアを通じた広報活動により、クリアランス制度の社会定着に向けた取組も推進された。有識者による検討委員会では、加工から再利用に至る各段階での留意事項や運用方法について専門的な検討が行われた。これらの実証結果を踏まえ、今後のクリアランス金属再利用拡大に向けた具体的なモデルが構築され、原子力事業者、加工事業者、再利用先それぞれが遵守すべき管理方法や記録保管の要件が明確化された。報告書は、制度の社会定着までの段階的な再利用先拡大の重要性を強調し、理解ある地域での実績積み重ねを通じて、最終的には一般市場での自由な流通を目指すべきとしている。