令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(新市場創出を支援するサービス産業の実態と効果的活用手法に関する調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、日本企業のイノベーション不足に対応するため、海外の新市場創出サービスの実態調査と効果的活用方法について書かれた報告書である。日本企業の連結売上高における新規事業の割合は6.6%に留まり、米国企業の11.9%、中国企業の12.1%を大きく下回っている状況である。この問題の背景には、日本企業がエコシステム型のイノベーション・プロセスを苦手としており、価値創造だけでなく価値が求められる仕組み構築活動の経験不足があることが指摘されている。本調査では、海外の新市場創出サービス事業者の実態調査、国内サービス産業カオスマップの更新、ユースケースにおける効果分析、事業会社向けガイドライン作成の4つの項目を実施した。アジア地域を中心にDIFY Pte.Ltd.やベクトル、The Dialogueなど10社程度のサービス提供者について、サービス概要、方法論、実際のユースケースを詳細に調査している。新市場創出における典型的な障壁として、既存事業部門の無関心、経営陣の懐疑的視点、効果発現までの焦燥、外部ステークホルダーとの距離などが特定されている。これらの障壁に対する対処方法として、勝算の提示、危機感の醸成、意義の訴求、期待効果の定量化、リスク回避選択肢の提示などが示されている。また、新市場創出サービスの活用においては、内製化と外注の適切な判断基準を設け、サービス提供者との連携では丸投げを避けて定期的な認識合わせと軌道修正を行うことが重要であると結論づけている。
