令和4年度サプライチェーン・サイバーセキュリティ対策促進事業(国内セキュリティ関連市場における製品・サービス提供者及び機器検証事業者に関する実態調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度サプライチェーン・サイバーセキュリティ対策促進事業における国内セキュリティ関連市場の製品・サービス提供者及び機器検証事業者に関する実態調査について書かれた報告書である。
国内セキュリティ市場は2021年度の577,930百万円から2027年度には866,700百万円へと堅調な成長を遂げる見通しであり、平均成長率は7.0%と予測される。コロナ禍によるテレワーク拡大に伴い、従来の境界型防御からゼロトラストセキュリティを中核とした非境界型防御への移行が進展している。ゲートウェイセキュリティを除く多くの分野でクラウドサービス化が加速し、ユーザーの運用負荷軽減ニーズを獲得している。
産業育成観点では、サイバーセキュリティ演習サービス、IDaaS、Webアプリケーション脆弱性検査ツール、端末管理・セキュリティツール、クラウドセキュリティの5領域を注力分野として特定した。これらの領域は市場規模、成長率、国産ベンダーの売上構成比、情報セキュリティ10大脅威への影響度を総合的に評価して選定されている。
経済安全保障の観点からは、電力、ガス、金融、交通、情報通信、半導体、医療機器の7業界を重要分野として調査を実施した。これらの業界では、重要インフラやシステム停止による国民生活への影響を考慮し、国産セキュリティ製品・サービスの導入推進が求められている。特に制御システムのフィールドネットワークにおいては、独自プロトコルや長期運用が要求されるため、国産ベンダーの優位性を発揮できる可能性が高いとされている。
IoT機器検証事業については、2021年度に4,200百万円の市場規模となり、自動車分野を中心に需要が拡大している。国際規格への対応や製品安全性確保の要請により、今後も成長が期待される分野である。しかし検証の必要性や有用性の認知不足、対策コスト負担などの課題も存在している。
市場拡大における主要課題として、外資系ベンダーの利用が多く国産ベンダーの活用が限定的であること、ガイドラインの具体性不足、セキュリティ人材の深刻な不足、中堅・中小企業でのセキュリティ投資不足が指摘されている。これらの課題解決に向け、表彰・認定制度の拡充、ガイドライン策定、人材育成支援、資金援助などの政策的支援が必要とされている。
