令和4年度デジタル取引環境整備事業(アプリストアを利用するアプリ開発事業者向け相談窓口の設置等を通じた課題収集・整理に関する事業)事業報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度デジタル取引環境整備事業に関して、アプリストアを利用するアプリ開発事業者向けの相談窓口設置等を通じた課題収集・整理事業について書かれた報告書である。
デジタルプラットフォームは経済社会において不可欠な存在となっており、イノベーションの担い手として中小企業等の市場アクセスを飛躍的に高め、消費者便益を向上させている。しかし、ネットワーク効果により独占化・寡占化が進みやすく、規約変更理由の不明示や取引透明性の低さといった懸念が指摘されている。これに対応するため令和3年2月に透明化法が施行され、大規模なECモール、アプリストア、デジタル広告を規律対象としている。
本事業では、アプリストアを利用するアプリ開発事業者からの取引上の課題等の相談を受け付ける窓口「DPCD」を設置した。相談窓口は平日9時から17時で対応し、電話、FAX、メール、ウェブフォームを用意している。相談員はアプリ事業に関与しない中立的な立場の専門知識を有するメンバーで構成され、6名の顧問弁護士が配置されている。顧問弁護士の主な取扱分野は知的財産法、独占禁止法、消費者法、著作権法等である。
相談窓口では、アプリ事業者とプラットフォーム事業者間の相互理解促進を目指し、丁寧なファクトファンディングによる合理的な対話可能なロジック構築を進めている。主な支援内容として、デジタルプラットフォーム提供者への質問・相談方法のアドバイス、弁護士情報提供・費用補助、共通課題の抽出・検討、相互理解促進支援、利用事業者向け説明会実施等を行っている。また、透明化法に関するセミナーを開催し、アンケートを通じて相談ニーズの掘り起こしを実施している。さらに、全国の商工会議所等にパンフレットを送付して周知活動を展開している。これらの相談対応結果は透明化法と連携し、モニタリング会合や経済産業大臣による評価、法執行に活用されている。
