令和4年度ヘルスケア産業国際展開推進事業(医療国際展開推進事業)報告書
報告書概要
この報告は、日本のヘルスケア産業の国際展開推進、特に医療インバウンドの促進について書かれた報告書である。新興国を中心とした世界のヘルスケア市場の急成長を背景に、日本のヘルスケア技術・サービスが持つ国際市場でのポテンシャルを活かし、各国のヘルスケア水準向上に貢献するとともに、日本経済の成長に寄与することを目指している。
本事業では、医療渡航市場に関する基礎情報の把握として、医療インバウンド促進の効果、競合国の先行事例におけるマーケティング戦略の分析、市場機会の創出状況について調査を実施した。その結果、医療インバウンド促進は医療機関には収益・医療の質の向上、地域にはより良い医療の実現、患者には自国で受けづらい医療サービスへのアクセスという効果をもたらすことが明らかになった。
市場規模の推計では、全世界で約70億米ドル規模とされる治療・診断目的の医療渡航市場のうち、アジアが約20億米ドルを占める一方、日本の治療・診断目的の医療渡航者数は他国と比較して限定的であることが推測された。海外の医療渡航マーケティング戦略の実態調査では、韓国やドイツなどの政府・自治体が客観的指標を用いた強みの訴求と一貫した導線の提供を行い、メイヨークリニックなどの海外医療機関がオフラインとオンラインのチャネルを組み合わせた情報発信、一貫した強みの訴求、患者との信頼構築を意識したマーケティング活動を実施していることが判明した。
マーケティング・プロモーションの実施では、中国人患者を主な対象として、患者体験ジャーニーの作成、患者体験談動画やウェブページの作成・拡散、医療機関への伴走支援を実施した。成果報告会では56機関の医療機関や医療コーディネーターに対して医療渡航促進に向けた学びを発信し、参加者の9割以上が新たな学びを得たと回答するなど、有益な情報共有が実現された。
