令和4年度産業経済研究委託事業(リース信用保険等のファイナンス手法を活用した政策に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、リース信用保険制度を中心としたファイナンス手法を活用した政策に関する調査について書かれた報告書である。経済産業省の委託により、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社が実施した調査では、従来の補助金や減税措置に加えて新たに創出されているファイナンス手法を活用した政策手法の評価と効果測定を行っている。具体的には、平成23年度より開始された低炭素投資促進法に基づく低炭素設備リース信用保険制度を対象として、中小企業等によるリースを通じた低炭素設備導入促進効果を分析している。同制度は、指定法人である一般社団法人低炭素投資促進機構とリース事業者が包括付保で保険契約を締結し、リース使用者の倒産等の保険事故を補償する仕組みとなっている。政策評価では、リース信用保険制度による低炭素設備の普及効果、CO2削減効果、リース料と省エネによるコストダウン効果、補助金による普及コストとの比較という4つの項目について評価を実施している。さらに、政府系機関が活用しているファイナンス手法を活用した支援手法の調査も行い、投資家によるエンゲージメント強化、長期・大規模なGX投資、中小企業のGX投資の3つの観点から分析している。長期・大規模なGX投資においては、民間金融機関の参画促進のために政府および政府系金融機関による量的補完、リスクマネーへの出資、保証、有事の際の政府による関与が重要であることを指摘している。中小企業のGX投資促進については、SDGsの意識高まりを背景とした低炭素設備としてのPRが有効であることをリース会社へのヒアリングから明らかにしている。
