令和4年度大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた新規事業創造促進事業)事業報告書

掲載日: 2023年11月17日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業人材課
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令和4年度大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた新規事業創造促進事業)事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、経済産業省の令和4年度「大企業等人材による新規事業創造促進事業」における創造性リカレント教育プログラムについて書かれた報告書である。第4次産業革命における付加価値創出競争の中で、アートやデザインなどの創造性を備えた社会人育成の重要性が政府の成長戦略実行計画で示されており、これを受けて経済産業省が創造性リカレント教育を通じた新規事業創出促進に取り組んでいる背景がある。また高度デザイン人材育成ガイドラインでは、最も未来志向な人材類型として「ビジョンデザイナー」が示され、社会の動きやテクノロジートレンドから未来像を創造提示することや、オルタナティブなアプローチによる価値創造が求められている。このような課題に対し、複雑性が高い地球規模の課題への対処として「トランジションデザイン」という新しいデザインアプローチが重要とされ、本事業では日本で初めてトランジションデザインを企業研修に取り入れた「Transition Leaders Program」を実施した。このプログラムは全8回の講義とワークで構成され、社会と企業の共生ビジョンを描く未来構想力と、生活者起点で事業をつくる事業構想力の習得を目指している。プログラムの評価結果では、参加者の総合満足度が5段階で4.6と非常に高く、多様な講師による理論実践の統合、フィールドワークの体験、同志との出会いが高評価の要因となった。ただし、トランジションデザインを社内で理解促進する共通言語作りの困難さや、具体的な成功事例の不足、経済合理性重視の組織での受け入れ困難といった課題も明らかになった。今後の課題として、プログラムの再現性、部署間縦割り構造、社内予算確保、実績不足の4点が挙げられ、企業単位での募集や複数年継続実施による品質向上、企業導入支援までを含むスコープ拡大が対策として提案されている。