令和4年度大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた新規事業創造促進事業)報告書

掲載日: 2023年11月17日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業人材課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和4年度大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた新規事業創造促進事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、大企業等人材による新規事業創造促進事業について書かれた報告書である。

日本企業は先進国の中で付加価値の高い事業創出において遅れをとっており、新たな市場創出のために社会人の創造性育成が注目されている。しかし、創造性は一部の天才にのみ宿るといった誤解や特定の思考法への偏重が多く存在し、多様な視点の調和・統合を通じた創造的思考や創造的態度は座学ではなく繰り返し試行錯誤する中で身体知として習得される必要がある。日本のイノベーションプロセスにおいて、「What to design」の段階である課題認識、アイディアのひらめき、構想と機能のデザインは、成功事例のプロセス抽出が困難で人材育成方法が確立されていない現状がある。

本事業では、創造性を磨いて新規事業に挑戦する人材、将来の新規事業創造に資する経験を積む企業人材、所属企業の創造性の源泉となる人材の創出を目的とした。株式会社日本総合研究所が過去に実施した自主調査研究において、新事業を立ち上げた創造性人材へのインタビュー分析により、共通する特長的行動として5つの基盤を抽出した。これらは感性基盤、情報基盤、価値観基盤、手法基盤、経験基盤であり、マインドワンダリングからひらめきを生み、アイディアを具体化・実装できるようプログラムを設計した。

研修プログラムは基礎スキル研修である「創発人材5つの基盤研修」と、応用スキル研修である「新規事業創出フレームワーク研修」で構成され、アイディア創発からアイディア具体化まで段階的に進める構成となっている。モデル企業3社において実際の新規事業立案を実施し、研修で学んだスキルを活用した実践的なケーススタディを作成した。研修実施においては、昨年度の課題を踏まえて休日2日間から平日6日間の形式に変更し、より理解を深められる改善を図った。

今後の課題として、創造性を高めアイディアを創出することと事業化・社会実装することの間には大きな隔たりが存在し、新規事業開発における専門的知見の確保や組織的なアントレプレナーマインドの醸成が必要である。