令和4年度新興国等における エネルギー使用合理化等に資する事業(タイ島嶼部における分散型エネルギーシステム導入可能性調査)報告書(日本語版)

掲載日: 2023年11月30日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課国際室
委託事業者: 東電設計株式会社
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報告書概要

この報告は、タイ島嶼部における分散型エネルギーシステム導入可能性について書かれた報告書である。ASEAN地域の島嶼部ではディーゼル発電が中心となっており、燃料コストや温室効果ガス排出の改善が課題となっている状況を受け、日本が2015年に提唱した分散型エネルギーシステム・イニシアティブの一環として、タイ・パヤム島における分散型エネルギーシステムの導入可能性調査が実施された。調査では、太陽光発電、風力発電、蓄電システム、コージェネレーション、島嶼マイクログリッド、ソーラーホームシステム、LED街路灯等の省エネ技術について技術的特徴とコストが分析された。パヤム島の現状調査により、同島では民間のPJ Power社がディーゼル発電により電力を供給しており、配電系統は高圧線と低圧線で構成され、既存の再生可能エネルギー設備として公共施設や病院、携帯電話基地局に太陽光パネルが設置されていることが確認された。島の太陽光ポテンシャルは良好であり、風力についても一定の可能性があることが示された。分散型エネルギーシステムの提案では、太陽光発電とディーゼル発電、蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステムが検討され、需給シミュレーションにより年間を通じた電力供給の安定性が確認された。経済性評価では、初期投資は必要であるものの、長期的には燃料費削減により経済的メリットが得られることが示された。環境社会的側面では、環境影響評価制度や関連法令への対応が整理され、温室効果ガス削減効果も算出された。また、日本の支援可能性として、二国間クレジット制度(JCM)やNEDO国際実証事業等の資金支援スキームが紹介され、これらを活用することで事業実現の可能性が高まることが示された。本調査により、パヤム島における分散型エネルギーシステムの技術的実現可能性と経済性が確認され、日本の技術とノウハウを活用した脱炭素化への貢献が期待される結果となった。