令和4年度産業経済研究委託事業(社外取締役の研修やトレーニングに関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、社外取締役の研修やトレーニングに関する調査について書かれた報告書である。令和4年度の産業経済研究委託事業として、コーポレート・ガバナンス・システムの実質化に向けた社外取締役の質向上を目的として実施された。2019年の会社法改正により主要上場会社で社外取締役設置が義務化され、2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂でプライム市場では3分の1以上の社外取締役選任が原則となったことで、その数と重要性が増大している。研究会では社外取締役の質向上がガバナンス改革の鍵とされ、研修コンテンツの充実化や適格性基準の必要性が議論された。本調査では、研修等実施機関と企業双方の観点から現状と課題を把握するため、コーポレートガバナンス関連団体や専門家団体等へのインタビュー調査、企業における社外取締役への研修等に関する調査、社外取締役の研修活用実態に関するアンケート調査を実施した。調査結果から、研修等は基礎的内容を中心に設計されており、受講負荷を考慮して費用も抑制されているが、受講者数は年々増加傾向にある。特にオンライン形式の導入により参加者が大幅に増加している。しかし、意欲的で既存のコミュニティを持つ特定の社外取締役のみが研修情報にアクセスできている現状があり、企業からの積極的な紹介と受講促進が必要である。また、社外取締役向けケーススタディの整理も行い、実践的な判断・行動事例を提供することで、社外取締役とその候補者の振る舞い方習得を支援する内容となっている。
