令和4年度産業経済研究委託事業(海外のM&A制度等に関する実態調査)米英独仏における上場会社M&A制度・市場動向に関する調査報告書
報告書概要
この報告は、ドイツとフランスにおけるM&A(企業買収・合併)に関する法制度や規制について書かれた報告書である。2023年5月に作成されたこの報告書は、両国の企業買収に関わる法的枠組みと規制監督について詳細に分析している。
ドイツに関しては、企業買収・買収法(WpÜG)、株式法(AktG)、証券取引法(WpHG)などの主要法令を中心として、M&A取引における法的要件や手続きについて説明されている。また、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)による監督体制やその役割についても言及されている。特に、敵対的買収に対する防衛策や株主保護の仕組み、強制公開買付制度などの重要な論点が取り上げられている。
フランスについては、金融通貨法典、商法典、およびフランス金融市場庁(AMF)の規則が主要な法的根拠として挙げられている。フランスの公開買付制度(OPA、OPE)の仕組みや、AMFによる監督権限、市場の透明性確保のための規制などが詳細に検討されている。また、EU指令2004/25/ECとの関係や、欧州証券市場監督機構(ESMA)のガイドラインとの整合性についても触れられている。
報告書では、両国のM&A規制について比較分析を行い、それぞれの制度の特徴や相違点を明らかにしている。特に、買収防衛策に対する規制のアプローチ、強制公開買付義務の発動要件、少数株主保護の仕組みなどについて詳細な検討がなされている。さらに、近年の法改正や判例の動向、実務上の課題についても言及されており、両国のM&A法制の現状と今後の展望について包括的な分析が提供されている。