令和4年度重要技術管理体制強化事業(バッテリーメタルに関する資源動向調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度重要技術管理体制強化事業におけるバッテリーメタルに関する資源動向について書かれた報告書である。経済産業省の委託により、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社が実施した調査報告である。
本報告では蓄電池産業戦略に掲げられた上流資源の確保に向けた支援スキーム強化を中心に調査・検討を行っている。調査対象はリチウム、ニッケル、コバルト、黒鉛といったバッテリーメタルの主要プレイヤー20社程度であり、資源開発の概況や事業内容、課題等を分析している。さらに中南米、豪州、アフリカ等の資源地域における開発動向も調査対象としている。
リチウムについては南米や豪州に多くの埋蔵量があり、特に豪州では2017年以降リチウム鉱山の開発が活発化している。生産された精鉱のほとんどが中国へ輸出されており、チリやアルゼンチン等の南米からはアジア向けの輸出量が多い。ニッケルは埋蔵量が豪州・インドネシアに集中し、インドネシアでは中国系企業による急速な開発投資により生産量が急増している。コバルトはコンゴ民主共和国に大きく依存しており、欧州企業と中国企業が採掘・生産の中核を担っている。
また主要国における資源開発支援施策として、EU、中国、カナダ、豪州の政策動向を整理している。さらに米国のIRA法に対する各国の反応や資源ナショナリズムの動向など、今後のバッテリーメタル調達に影響を及ぼし得る海外動向についても分析を行っている。資源ナショナリズムに関しては、鉱物価格上昇や環境規制強化、COVID-19による社会経済変化などが要因となり、輸出制限や課税強化、国有化等の動きが見られることを指摘している。
