令和4年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等委託費 地域保安指導事業報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度における液化石油ガス(LPガス)販売事業者に対する地域保安指導事業について書かれた報告書である。
LPガスによる事故件数は1979年の793件をピークに、安全装置の普及により1997年には68件まで減少したが、2006年以降は139~260件で推移している。全国約17,000のLPガス販売事業者の多くが中小零細企業であり、独自の情報収集や教育機会の確保が困難な状況にある。そのため本事業は、LPガス事故件数を減らし死亡者を発生させないよう、電子情報処理組織を活用した講習等により販売事業者の保安技術・知識向上を図ることを目的としている。
事業内容として、法令指導、保安業務指導、CO中毒事故防止、LP ガス災害対策の4つのテーマでe-ラーニングによる講習と個別指導を実施した。講習は3週間以上受講可能な環境で1000人以上の受講者を募集し、個別指導は1テーマ1時間以上で業務主任者や保安責任者を中心に2名以上を対象とした。新型コロナ感染症対策として遠隔教育を継続し、1カ月の実施期間で好きな時間に学習できる環境を提供した。学習教材は20~25シートに内容をまとめ、ナレーションを加えてシートのポイントを説明し、事前に教材をダウンロードできるよう配慮した。
実施結果として、今年度の講習参加県協会は16県協会となり、多くの参加者が複数テーマを受講した。アンケート結果では理解度や参考度が高く、移動時間がないことや学習時間の自由度への賛同も得られた。個別指導は原則WEB会議システムでの実施としたが、感染対策を確認したうえで訪問による指導も認め、実施県協会は1協会で5事業所となった。検討会では継続的な指導の必要性と保安レベルの維持・向上について確認し、次年度以降はより多くの販売事業者が参加できるよう県協会に縛られず広く募集を行うことや、問い合わせ窓口の設置等を検討した。今後の課題として募集方法の変更、問い合わせ窓口の充実、指導教材の更新が挙げられている。