令和4年度産業経済研究委託事業(女性リーダー確保のためのクロスカンパニーメンタリングの実施環境整備に向けた課題調査事業)最終報告書
報告書概要
この報告は、女性リーダー確保のためのクロスカンパニーメンタリングの実施環境整備について書かれた報告書である。政府が2003年に掲げた「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度とする」目標は、経済分野において大幅に遅れており、上場企業における女性役員の割合は2021年時点で7.5%と諸外国と比較して低水準にとどまっている状況である。
第5次男女共同参画基本計画では、進捗が遅れている理由として女性の採用から管理職・役員へのパイプライン構築が途上であることが指摘されている。昨年の調査事業では、女性のパイプライン構築の障害として「役員・取締役になる上での意欲・スキルを伸ばす機会を与えられていない」「経営トップや現場管理職の理解不足」といった点が明らかになった。
これらの課題に対する対応策として、欧米で成功例があるクロスカンパニーメンタリングプログラムに注目し、企業の垣根を越えたメンター・メンティー間の対話を通じて、メンティーである管理職女性の昇進意欲向上とメンターの女性活躍の必要性への理解深化という効果が期待されることが示された。
本事業では、業種横断的女性リーダー研修「WIL」を主な対象として、6か月間の試行プログラムを実行した。プログラムは各企業における女性リーダー昇進パイプライン構築のための業種を超えたプラットフォーム形成を目的とし、役員候補層だけでなくその下の層にも並行してアプローチを行った。効果検証では、昇進を目指す女性参加者のWillやSkillの変化、メンターとして参加した企業経営層の課題意識の変化、プログラム運営上の学びや改善点について詳細な分析が実施された。
