令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(次世代の分散型電力ネットワークのあり方に関する調査)報告書

掲載日: 2023年12月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室
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報告書概要

この報告は、次世代の分散型電力ネットワークのあり方について書かれた報告書である。電力システムの脱炭素化に伴い、分散型エネルギーリソース(DER)の重要性が高まる中、安定供給の確保とカーボンニュートラル社会の実現を両立する新たな配電プラットフォームの構築が求められている。IEAの分析によると、2050年における先進国の50%以上が蓄電池及びデマンドリスポンスにシフトする必要があり、DERを最大限活用するためには市場や配電システムとの連携が不可欠とされている。英国のNational Grid ESOやUKPN、米国のCPUCやNYISO、オーストラリア政府、そして日本の送配電網協議会など、各国の政府や系統運用機関はDER活用に向けたロードマップを策定し、投資促進、市場統合、需要家参加、デジタル化を柱とした取り組みを展開している。特に電気自動車(EV)の系統統合については、充電技術の類型化、料金メニューの多様化、容量市場での新たな技術要件の導入などが進められており、英国やオランダ、米国カリフォルニア州では実証事業や規制整備が活発化している。配電システムにおけるローカルフレキシビリティ市場の開発や、地点別料金制度の検討も各国で進展しており、DERの価値を適切に評価し活用する仕組みづくりが加速している。日本においても、次世代スマートメーター制度検討会を発展させた新たな検討会が立ち上げられ、分散型電力ネットワークの具体的な制度設計と技術実証に向けた議論が開始されている。