令和4年度重要技術管理体制強化事業(投資規制対策事業(諸外国における投資環境動向調査))報告書

掲載日: 2024年1月12日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易管理政策課
委託事業者: ホワイト&ケースLLP
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報告書概要

この報告は、諸外国における投資環境動向について書かれた報告書である。近年の国境を越えた企業合併買収の増加や政府系ファンドの台頭、民生技術の軍事転用懸念のある対内直接投資案件の発生などにより、世界の投資環境が大きく変化している状況を受けて、新型コロナウイルス経済混乱やロシアのウクライナ侵攻を契機とした欧米諸国の安全保障を理由とした投資管理規制強化の動向を調査したものである。調査対象国は米国、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、英国、オーストラリアの7か国であり、各国が現在実施している投資規制制度、運用実態及び改革動向等を詳細に分析している。米国では2018年のFIRRMA成立により対米外国投資委員会の審査対象が拡大され、重要技術、重要インフラストラクチャー、機微個人情報に関わる米国事業への支配権獲得を伴わない外国投資についても審査対象となった。カナダでは投資法に基づく外資規制において文化事業や公衆衛生関連産業に対する規制を実施している。ドイツでは対外経済法及び対外経済法施行令の改正により審査対象の拡大と規制強化が行われ、フランスでは通貨金融法典に基づく事前承認制度を運用している。イタリアでは戦略資産保護法により戦略的セクターへの外国投資に対する規制を強化し、英国では2021年に国家安全保障投資法を制定して包括的な投資審査制度を導入した。オーストラリアでは外国買収・企業買収法に基づき国家安全保障上の懸念がある投資について厳格な審査を実施している。各国とも安全保障上重要な技術や基幹インフラへの外国投資に対する規制を強化する傾向にあり、審査対象の拡大、届出義務の強化、罰則の厳格化などの措置を講じている。