令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(2050年カーボンニュートラルの実現に向けた需要側の非化石エネルギーへの転換等の促進に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた需要側の非化石エネルギーへの転換等の促進に関する調査について書かれた報告書である。改正省エネ法の施行に向けて、需要側における非化石エネルギーの利用拡大と化石エネルギーからの転換を促進するため、具体的な制度設計に必要な調査・検討が実施された。本調査では、製鉄業、セメント製造業、製紙業、石油化学系基礎製品製造業、ソーダ工業、自動車製造業といった主要産業における非化石エネルギーの利用状況の実態調査が行われた。高炉による製鉄業では副生ガスや排エネルギーの活用、廃プラスチック・廃タイヤのコークス代替利用、バイオマス発電での木質バイオマス混焼などが実施されており、将来的には水素やアンモニアの還元材・燃料代替も検討されている。電炉による普通鋼製造業や特殊鋼製造業では、電力使用による特性を活かした再生可能エネルギー電力の活用が進められている。セメント製造業では廃棄物燃料やバイオマス燃料の利用が特徴的であり、製紙業では黒液やバイオマス燃料の自家発電での活用が行われている。また、省エネ法における適正なエネルギー評価のため、エネルギー熱量換算係数の見直しが検討され、電気の熱量換算係数については火力平均係数の最新値への更新に加えて全電源平均係数の設定も検討された。さらに、水素やアンモニア、バイオマス等の非化石燃料に対する新たな熱量換算係数の設定および補正係数の導入が検討された。供給側の状況を踏まえた需要シフト促進のため、再生可能エネルギーの出力制御時や需給ひっ迫時におけるディマンドレスポンスを促す制度設計として、月別電気需要最適化係数の試算が実施され、九州エリアでは出力制御の影響により4月の係数が最小値8.30MJ/kWhとなった。
