令和4年度成長志向の中小企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上につながるステークホルダーとの関係性整理と、その核となる人的資本投資に取り組む先進事例発掘調査BE THE LOVED COMPANY REPORT - 社員に、顧客に、地域に、社会に愛される会社になろう -

掲載日: 2024年1月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 近畿経済産業局総務企画部中小企業政策調査課
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令和4年度成長志向の中小企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上につながるステークホルダーとの関係性整理と、その核となる人的資本投資に取り組む先進事例発掘調査BE THE LOVED COMPANY REPORT - 社員に、顧客に、地域に、社会に愛される会社になろう -のサムネイル

報告書概要

この報告は、地域の中小企業が持続的成長を実現するための人的資本経営とステークホルダー関係について書かれた報告書である。人口減少・少子高齢化の進展と価値観の多様化が進む中、地域経済の核となる中堅・中小企業の役割が重要性を増している状況が指摘されている。従業員数6-300人の中小企業約98.9万者が国全体の付加価値額の約4割を占めるという大きなポテンシャルを持ちながら、その価値を十分に発揮するためには持続的な利益創出と新たな雇用獲得の循環を生み出すことが必要である。

特に注目すべきは、地域で良質な雇用機会を生み出している企業の三つの特徴として、中長期的視点での着実なビジネス実行と未来への投資、企業が関わるすべての人の幸福を経営目的とする姿勢、そして社員への継続的投資が挙げられることである。これらの企業は「人的資本経営」の考え方を実践し、人材を資源ではなく価値創造への投資として捉え直している。

消費者と働き手の価値観変化も重要な要因となっている。Z世代を中心とした消費者は倫理的消費と個性の主張を重視し、働き手においても安定性だけでなく雇用環境の柔軟性や仕事へのやりがいを求める傾向が強まっている。人的資本経営の効果として、従業員エンゲージメントの向上が営業利益率と労働生産性の向上に直結するという実証データも示されており、働きがいと働きやすさの両立が企業業績向上につながることが確認されている。

このような背景から、株主資本主義からステークホルダー資本主義への転換が進み、財務情報に加えて人的資本を含む非財務情報が企業評価の重要指標となっている。地域企業が「愛される会社」となるためには、社員を中心に据えた経営を通じて、顧客、地域、社会との良好な関係性を構築し、持続的な企業価値向上を実現することが求められるという結論に至っている。