令和4年度グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業(起業家精神に関する調査等)報告書
報告書概要
この報告は、日本における起業家精神に関する国際比較調査について書かれた報告書である。本調査は、グローバル・アントルプレナーシップ・モニター(GEM)の一環として実施され、1999年に10カ国から開始され、2022年には日本を含む49カ国が参加する国際比較研究へと拡大している。調査の主要目的は、ベンチャー企業の成長プロセスを解明し、起業活動を活発にする要因を理解し、国家の経済成長や競争力、雇用などへの影響を定量的に測定することにある。
調査は一般成人調査と専門家調査の2種類で実施され、本報告書は一般成人調査の結果を報告している。2022年調査において、日本の総合起業活動指数(TEA)は6.4となり、前年の6.3からやや上昇した。これは2019年調査の5.4と比較すると最近3年間は6.0を超えており、従来と比較して一段高い水準を維持している。しかしながら、起業態度有りの割合は2年連続で若干ながら低下しており、起業活動が活発化するために必要な基本的な課題は解決できない状態が続いている。
調査フレームワークでは、起業活動を「態度」「行動」「意欲」の3つのAによって構成される概念として捉えている。国際比較では、経済発展の段階によって要素主導型経済、効率主導型経済、イノベーション主導型経済の3つに分類している。日本はイノベーション主導型経済に分類され、49カ国中で日本よりもTEAが低い国は6か国であり、その中に中国も含まれている。主要7カ国との時系列比較では、米国が引き続き高い水準を維持している一方、日本はイタリアを上回っているものの、イギリス、フランス、ドイツよりも低い水準となっている。また、COVID-19による影響調査も継続して実施され、パネルデータを使用した分析が8年目を迎えている。
