令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(主要国・地域における貿易措置等の国際ルール整合性に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、主要国・地域における貿易措置等の国際ルール整合性について書かれた報告書である。令和4年度の内外一体の経済成長戦略構築に係る国際経済調査事業として、TMI総合法律事務所が実施した調査結果をまとめている。
報告書は中国、ASEAN諸国、米国、EU・英国、韓国、台湾、豪州、カナダ、ロシア、インド、ブラジルの11の国・地域を対象としている。中国については、透明性、統一的行政、司法審査の分野で、2022年度政務公開業務要点に関する通知が公表され、市場主体の税減免や投資拡大に関する情報公開の推進、社会の調和と安定維持、政策開示の質向上などが方針として示された。司法公開では、中国裁判文書ネットや中国法廷審理公開ネットなどのウェブサイトを通じた情報公開が行われている。
輸出制限措置については、2022年4月に商務部が両用品目輸出管理条例の意見募集稿を公表した。この条例案は輸出管理法の下位法令として、従来分散していた大量破壊兵器関連の両用品目規制を統合し、通常兵器関連の両用品目も包括する統一的な規則を定めている。リスト規制、キャッチオール規制、許可制度、最終需要者・最終用途管理、ブラックリストなどの制度が詳細に規定されている。しかし、再輸出規制、みなし輸出規制、データ移転規制については依然として不明確な点が多く存在している。また、2022年11月には高圧放水砲に対する輸出管理が新たに実施されている。
インドでは医薬品等の特許保護について、特許法第3条における特許性の判断基準や強制実施に関する議論が継続している。新型コロナウイルス感染拡大以降、レムデシビル等の医薬品について強制実施権発動の議論が再燃したが、中央政府は現在に至るまで強制実施権を発動していない。ブラジルでは特許・ノウハウ等のライセンス規制について、産業財産権庁が技術移転契約の登録手続を簡素化する新たな審議を公表し、関係会社間の支払額上限規制が撤廃された。また、法律第14.286/2021号により、ロイヤリティの海外送金に関してブラジル中央銀行への契約登録が不要となるなどの改正が行われた。
