令和4年度原子力の利用状況等に関する調査事業(海外諸国の処理水の取扱い状況及び多核種除去設備等処理水の処分技術等に関する調査等)報告書

掲載日: 2024年1月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力発電所事故収束対応室
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報告書概要

この報告は、海外諸国の処理水の取扱い状況及び多核種除去設備等処理水の処分技術等について書かれた報告書である。令和4年度に実施された原子力の利用状況等に関する調査事業として、福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出に向けた基本方針を踏まえ、諸外国における処理水の海洋放出における安全性確保の取組や国際輸送に係る規制、トリチウム分離技術等について包括的な調査を行ったものである。

海外諸国の処理水取扱い状況に関する調査では、国際機関のガイダンスと主要な原子力施設保有国である中国、フランス、韓国、ロシア、米国、台湾、英国における処理水の海洋放出時の安全性評価手法や根拠法令、実施主体、評価結果の公表状況等を詳細に分析している。各国ともトリチウムを含む放射性物質について、それぞれの法令に基づく総量規制または濃度規制を実施しており、被ばく経路を考慮した線量評価によって安全性を確認していることが明らかとなった。

ALPS処理水の国際輸送に関する調査では、フランス、韓国、米国、オーストラリア、スイス、オーストリアにおける放射性物質の輸送規制について、航空輸送、海上輸送、陸上輸送の各形態における国際基準と各国の規制内容を整理している。多核種除去設備等処理水の処分技術等に関する調査研究では、トリチウム等ALPS処理水の取扱いに関する基礎的情報として、国内外の科学的・社会的な最新情報や健康影響に関する情報を収集し、主要国及び日本の原発立地地域におけるトリチウムの大気・海洋・河川・降雨中の濃度データと各国のトリチウム排出量データを分析している。

トリチウム分離技術の調査では、国内外の最新動向を文献調査と関係者へのヒアリングにより把握し、原子力関連施設で実用化されている分離技術の研究状況と福島第一原発等への応用可能性を検討している。調査結果により、世界各国の原子力発電所や再処理施設においてトリチウムが法令を遵守した上で海洋や河川、大気中へ排出されており、各国の規制基準や評価手法には相違があるものの、共通して科学的根拠に基づく安全性評価が実施されていることが確認された。