令和4年度地域経済産業活性化対策調査事業(国内生地産地の高付加価値化に向けた生地ブランディングに関する調査)成果報告書

掲載日: 2024年1月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中国経済産業局地域経済部製造・情報産業課
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令和4年度地域経済産業活性化対策調査事業(国内生地産地の高付加価値化に向けた生地ブランディングに関する調査)成果報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、日本の繊維産業における生地の高付加価値化とブランディングに関する調査について書かれた報告書である。経済産業省が実施した令和4年度の地域経済産業活性化対策調査事業として、伊藤忠ファッションシステム株式会社が担当し、国内生地産地の競争力強化に向けた課題と解決策を探った調査である。日本の繊維企業の大半が地方の中小企業であり、ブランディングや海外展開において環境や人権配慮等への対応に苦しんでいる現状を受け、収益改善・給与上昇に繋がる生地ブランディングの方策を検討している。調査は尾州、三備、遠州の3つの主要産地の企業9社を対象として実施され、高付加価値化に成功している企業の特徴として、ブランドデザイナーとの直接対話、積極的な設備投資、テキスタイルデザイナーの存在が重要であることが判明した。また、大手海外メゾンのケリング、LVMH、国内コレクションブランド2社への調査により、環境・人権・トレーサビリティといったサステナビリティ対応が必須条件となっており、その上でクオリティが重視されることが明らかになった。調査結果から、産地企業の高付加価値化には、海外展示会でのプレゼンテーション能力向上、サプライチェーン全体での連携強化、トレーサビリティ確保、新素材開発、テキスタイルデザイナーの地位向上、サステナビリティ認証取得支援が課題として提示された。特に海外メゾンとの取引拡大には、Premiere VisionやMilano Unicaなどの国際展示会への出展が有効であることが確認されたが、日本企業のプレゼンテーション能力の向上と公的支援の拡充が必要であると結論づけている。