令和4年度北海道における先進モビリティサービスと地域通貨の連携による利⽤及び消費促進モデルの事業性調査・分析事業実施報告書

掲載日: 2024年1月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 北海道経済産業局地域経済部製造・情報産業課
委託事業者: BOLDLY株式会社
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令和4年度北海道における先進モビリティサービスと地域通貨の連携による利⽤及び消費促進モデルの事業性調査・分析事業実施報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、北海道東川町における自動運転バスと地域通貨「HUC」の連携による地域経済活性化モデルの実証実験について書かれた報告書である。

東川町では自家用車を持たない住民の移動手段として路線バスが存在するが、便数が少なく地区内短距離移動には不適であるため、自動運転バスによる補完的交通サービスの導入を検討した。同時に、町民の8割が利用する地域通貨「HUC」との連携により地域経済の活性化を目指した。令和5年3月6日から10日の5日間、BOLDLY株式会社が東川町中心街で関係者向け試乗会として自動運転バスの試運行を実施した。運行では、降雪時のセンサー障害や積雪による走行ルート制限といった課題が明らかになったが、降雪のない日は91.7%の自動運転割合を達成した。総計171名が試乗し、住民からは病院やスーパーへのルート接続、観光地への延伸、他の公共交通との接続ターミナル設置などの要望が得られた。

地域通貨との連携については、商工会と3回の会合を実施し、自動運転バス車内での地域通貨読み取り機器設置による利用データと消費データの連携、地域通貨アプリでの自動運転バス周知、観光客への地域通貨登録促進といった連携案を検討した。この取り組みにより、従来計測困難であった自動運転バスの経済効果を定量的に測定することが可能となる。自動運転バスの導入は交通弱者への持続可能な移動サービス提供を実現し、新たな移動手段による行動変容が目的地での消費活動を促進することで地域経済活性化に寄与することが期待される。現在のレベル2運行では人件費と車両価格の高額化により収益性に課題があるが、地域経済活性化との連携モデル確立により先行者利益を獲得できる仕組みの構築を目指している。