令和4年度中小企業連携による海外展開に対する支援力強化及び支援体制構築に向けた調査事業 報告書
報告書概要
この報告は、中小企業の連携による海外展開支援に関する調査について書かれた報告書である。人口減少による国内市場縮小と新興国の海外需要獲得を背景として、中小企業が海外展開を図る重要性が高まっており、約20年ぶりの円安進行とコロナ危機を経てウィズコロナ・ポストコロナとして海外進出への機運が高まっている状況を示している。
中小企業の海外展開においては、JAPANブランド育成支援等事業やJETRO等の公的支援に加えて越境ECの活用が進んでいるものの、地域の中小企業では個社単体のリソースに限りがあるため、複数企業が相互に補完し合いながら連携してスケールメリットを活かした海外展開が地域経済活性化と地方創生に有効であると位置づけられている。
調査対象は繊維、陶磁器、日用品、食品等の生活関連産業に属する中小企業であり、中部地域が全国2位の輸出額を誇る名古屋港を有し自動車産業中心の輸出ノウハウを生活関連産業に横展開する潜在的ポテンシャルを持つ地域として注目されている。しかし中部地域の生活関連製品輸出は関東・関西地域から行われることが多く、地理的優位性や潜在的ポテンシャルが発揮できていない課題がある。
文献調査では伝統産業の小規模企業が組合として海外販路拡大を図る事例が多く見られ、組合が商社機能を果たしながら公的補助を活用して海外展示会への共同出展や商談取り次ぎを行っている実態が明らかになった。中小企業連携による海外展開体制は水平連携と垂直連携に類型化され、水平連携では研究会・勉強会型が、垂直連携ではOEM型、パートナー型、コンサル型に分類されることが判明した。中部地域では水平連携事例がほとんどであるが、実績を有する垂直連携の導入により一層の海外展開が期待されると結論づけている。
