令和4年度学びと社会の連携促進事業(「未来の教室」(学びの場)創出事業)最終報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度学びと社会の連携促進事業「未来の教室」創出事業について書かれた報告書である。
経済産業省が推進する「未来の教室」ビジョンの実現に向けて、学びのSTEAM化、個別最適化された学び、教育環境の整備という3つの柱に基づき実施された事業の成果をまとめている。本事業は5年目として、過去の取組みを継承しながら、さらなる課題抽出と検証を進め、制度論に踏み込む議論に資する調査・広報を推進することで、人一生の学びの環境づくりを目指している。
事業全体は6つの主要な取組みから構成されている。第一に事業全体の運営管理として、「未来の教室」評価・検討会議および地域×スポーツクラブ研究会を運営し、外部評価委員会による適切な評価体制を構築した。第二にEdTech・教育産業についての課題深掘りとして、EdTech業界調査、校務支援システム業界調査、教育バウチャーに関する調査など多岐にわたる調査を実施し、制度的・政策的論点を整理した。
第三にEdTechポータルサイトの開発・運営では、EdTechライブラリー・データベースを構築し、学校種や教科、使用目的に応じた検索機能、調達支援機能、市場拡大・開発機能を備えたプラットフォームを提供している。第四に実証事業として、4つのテーマで25件の事業を組成し、教育効果の最大化と事業フィージビリティの確保を図りながら運営・コンサルティング・効果検証を実施した。特にテーマDでは7名の有識者と連携し、学校現場や地域に根差した助言体制を構築している。
第五にSTEAMライブラリーの継続運用と活用事例創出では、25事業者と連携して約130件の活用事例を創出し、UU数31万件、登録ユーザー数9,800名規模にまで拡大した。学校現場でのカリキュラム組み込みや科目横断での探究授業実施を通じて、実際の教育効果を検証している。第六に広報・周知普及の取組みとして、EDIXでの出展企画により東京・大阪・オンラインで合計約5,400名の参加を得て、全国50以上の自治体を対象としたキャラバンを6回開催し、月1~2回のニュースレター配信を実施した。
事業成果として、「未来の教室」ビジョンの具体化と認知促進、EBPM・学術的観点を重視した実証事業の進化、制度論を含む他省庁との連携強化、自走に向けたコミュニティビルディングの推進が挙げられている。今後の展開としては、STEAMライブラリーの活用拡大と教育委員会での研修実施が計画されており、検索性の改善、活用促進、デザイン面の改善など、現場からの声を反映した改善提案も示されている。
