令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(インド太平洋地域における国際秩序の形成・維持に資する新たな枠組みの設立に向けた調査・分析)報告書(公開版)
報告書概要
この報告は、インド太平洋地域における国際秩序の形成・維持に資する新たな枠組みの設立に向けた調査・分析について書かれた報告書である。
近年CPTPP、日EU・EPA、日英EPA、RCEPが相次いで発効し、日本の貿易額に占めるEPAカバー率が80%を超える水準に達したことで、アジア太平洋地域において関税削減によるサプライチェーンの深化とルール面での経済秩序形成が進展している。しかしながら、コロナ禍やウクライナ情勢等によってグローバル経済・日本の立ち位置が大幅に変化する中で、これまでの経済連携推進の前提としてきた産業構造や日本経済を取り巻く状況は大幅に変化したため、日本経済のグローバル化や日本企業の海外展開ニーズについて改めて検証を行うことが必要となっている。
調査対象国はAPEC参加エコノミーを基本として米国、日本、豪州、ニュージーランド、韓国、インド、カナダ、フィジー、ASEAN諸国の計18カ国が選定された。貿易投資構造の分析では、豪州の半導体や韓国の蓄電池などで中国からの輸入依存度が高くなっており、調査対象国からの投資割合が大きいのはミャンマー、インドネシア、豪州などであることが判明した。また近年のサプライチェーン途絶事例としては、新型コロナ感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとするものが多く、各国において半導体の海外依存やクラウドの米中依存などが大きいことが確認された。ルール構築の比較分析においては、デジタル分野でCPTPP/USMCA参加国以外ではインドネシアが豪州とのEPAにおいて高水準のコミットをしているものの、その他はRCEPの水準にとどまり、そもそも国際的なコミットメントをしていない国も存在することが明らかになった。
