令和4年度中小企業実態調査事業 小売電気事業者の事業運営状況に関する調査まとめ
報告書概要
この報告は、小売電気事業者の事業運営状況について書かれた報告書である。令和4年度に経済産業省の委託により、有限責任監査法人トーマツが実施した調査であり、2016年の電力小売全面自由化以降の新電力事業者の実態を把握することを目的としている。調査背景として、新電力事業者が2022年4月時点で全体の21.3%のシェアを占める一方、世界的なLNG等の原燃料価格や卸電力市場価格の高騰により、2022年11月時点で新電力の約2割が事業からの撤退などに追い込まれている状況がある。調査は2022年度上期における契約口数が65件以下の191の小売電気事業者を対象とし、Microsoft Formsを用いたアンケート調査を実施した。対象事業者が実施すると想定される事業は、一般需要家への電力供給、グループ企業への特定供給、蓄電池を活用した需給安定化、電力トレーディング、小売電気事業者への卸供給、その他の事業に分類された。調査結果として、108の回答者のうち一般需要家への電力供給を行っている事業者は24者であり、取引件数や販売電力量が少ない理由として、12者が当初計画から限られた需要家への販売を目的としていたと回答した。また、ウクライナ等による環境変化により規模縮小や事業休止をしている事業者が5者、小売登録から日が浅く事業開始していない事業者が2者存在した。一般需要家に影響を及ぼす可能性がある事業を行っている事業者は全体の34%に当たる37者であり、残りの66%に当たる71者はそれらの事業を実施していないことが判明した。
