令和4年度製造基盤技術実態等調査(セメント産業海外動向調査)最終報告書

掲載日: 2024年2月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局素材産業課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和4年度製造基盤技術実態等調査(セメント産業海外動向調査)最終報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、日本及び海外主要国のセメント産業におけるCO₂排出量の現状と脱炭素化への取り組みについて書かれた報告書である。調査対象国は日本、米国、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、EUを含み、各国のセメント生産量、CO₂排出量、エネルギー消費量の詳細なデータ収集が行われた。さらに大手セメント企業であるハイデルベルクセメントやホルシムについても同様の調査が実施された。調査手法はデスクトップリサーチと各国セメント協会へのヒアリングを組み合わせて行われ、複数のアプローチにより緻密なデータ収集が実現された。分析結果では、日本は地震国という特性により他国と比較してクリンカ比率が高く、1トン当たりのCO₂排出量も713kg CO₂/t-CEMと高水準であることが判明した。一方、ドイツは585kg CO₂/t-CEMと最も低い値を示し、クリンカ比率も0.707と低水準であった。各国のCO₂排出量の内訳を見ると、プロセス由来とエネルギー由来の比率が国により異なり、それぞれの特性に応じた対策が講じられていることが確認された。脱炭素化に向けた取り組みとしては、クリンカ代替原料の導入、混合セメントの使用、低炭素クリンカーの開発、CCS/CCUSの導入などプロセス由来の対策と、バイオマス燃料の使用、再生可能エネルギーの導入、熱効率改善などエネルギー由来の対策が各国で推進されている。また海外セメント産業の脱炭素化施策については、日本セメント協会、ドイツセメント協会、タイセメント協会へのヒアリングが実施され、IEAの進捗調査や各国の長期戦略についても詳細な調査が行われた。これらの調査結果は各国のセメント産業における脱炭素化戦略の策定と実行に向けた重要な基礎資料となっている。