令和4年度産業経済研究委託事業(スタートアップの報酬制度にかかる調査研究)調査報告書

掲載日: 2024年2月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業創造課新規事業創造推進室
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報告書概要

この報告は、スタートアップの報酬制度、特にストックオプションについて調査研究を行った報告書である。経済産業省の委託事業として、株式会社日本総合研究所が令和4年度に実施した調査の結果をまとめている。

本調査の背景として、日本のスタートアップにおけるストックオプション利用率が諸外国と比較して低く、複雑な制度設計がスタートアップの負担となっている状況が指摘されている。また、高額な給与支給が困難なスタートアップにとって、ストックオプション等のインセンティブ報酬制度は人材獲得・雇用戦略の根幹であり、生産性・付加価値向上に寄与する重要な仕組みである。

調査方法は、文献調査とヒアリング調査を組み合わせて実施された。文献調査では、国内で活用されている主な報酬制度の仕組みについて網羅的に調査・整理を行い、有償・無償ストックオプション、譲渡制限付株式購入権付与、譲渡制限付株式報酬等の制度について詳細に検討した。さらに、企業のステージや業種に適した報酬制度の整理、実務上のハードルや懸念事項の把握も行った。ヒアリング調査では、4社に対して計5回の調査を実施し、実務上の課題や他社への示唆について情報収集を行った。

研究会は3回開催され、実務家および有識者による検討が行われた。第1回では取り上げるべきテーマの検討、第2回では作成されたガイダンス案についての意見交換、第3回では最終案の確認と今後継続検討すべき課題について議論された。

本事業の成果物として、スタートアップ経営者・財務担当者を主たる対象としたガイダンスが作成された。このガイダンスは、「スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス」と併せてガイダンス3部作を構成し、ストックオプション制度の認知向上と効果的活用を目的としている。報告書には、過去5年間に上場したスタートアップのストックオプション活用状況の詳細な分析結果も含まれており、各企業の付与時期、対象者、付与株数、行使価格等の具体的なデータが示されている。