令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(買物弱者を含める買物環境改善に関する調査)買物弱者支援事業者 事例集
報告書概要
この報告は、買物弱者支援事業者の様々な取組事例について書かれた報告書である。買物弱者とは流通機能や交通網の弱体化により日常の買物が困難な状況に置かれている人々を指し、全国で約824万人存在している。都市部では高齢者のPC・スマートフォン活用やネットスーパーの普及により利便性が向上している一方、地方では後期高齢者の比率が高く物理的距離もあることから、買物弱者問題が深刻化している。
支援事業は「家まで商品を届ける」「近くにお店をつくる」「家から出かけやすくする」「先進技術を活用する」の4つに分類される。移動販売では見込み客の推定と効率的なルート組み、高齢者施設の取り込み、コミュニケーション能力のあるドライバー確保が重要である。買物代行ではスタッフの拘束時間短縮と買物以外の困りごと支援が求められる。宅配・ネットスーパーは利用者層の拡大と配送エリアの最適化が課題となっている。
先進技術では、ドローン配送において航空法等の規制緩和や配送コスト削減、遠隔カメラ買物支援では高齢者の操作性向上、ロボット買物支援では技術実証から社会実装への移行が重要な要素である。各事業形態において自治体との連携や法制度の整備が必要であり、特に移動販売では停車場所の確保、買物代行では介護保険適用サービスとの差別化が課題となっている。持続可能な事業運営のためには、収益性の確保と社会的価値の創出を両立させる事業モデルの構築が不可欠である。
