令和4年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(インドネシア国・エネルギー最適化に資する送電線整備への民間資本活用に関する調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、インドネシア国におけるエネルギー最適化に資する送電線整備への民間資本活用について書かれた報告書である。インドネシアはASEAN最大の電力需要を誇るが、電源開発がジャワ島中心となっており、その他の島では低効率な石炭火力やディーゼル発電が多く、エネルギーコスト、電力信頼度、CO2削減の観点で最適化が図られていない。ジョコ・ウィドド大統領は2030年までの温室効果ガス排出ネット低下と2060年までのカーボン・ニュートラル達成を表明している。インドネシアでは島間連系による電力最適化が構想されているが、海底ケーブル建設費が高額で国営電力会社PLNの負担が大きく、計画が進捗していない。本調査は財政余力の厳しいPLNの状況を踏まえ、民間資本活用による送電線事業の可能性を調査し、BOT方式等の制度構築を目的としている。調査では英国やドイツの送電事業における民間参入制度を参考に、インドネシアの法制度上の事業可能性を検討した。現行規制では外資を含む民間事業者のインフラ事業参画は可能であるが、送電事業については発電事業と異なり規制が整備されておらず、民間投資による実績もない。送電事業の収益構造や建設遅延時の救済措置等が未設定で、為替変動リスクのヘッジ方策も検討が必要である。パイロットプロジェクトによる実証検討が重要であり、PLNからの情報提供と理解獲得が今後の課題となっている。
