令和4年度新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業(日中省エネルギー等・環境ビジネス推進事業)報告書

掲載日: 2024年2月15日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課国際室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和4年度新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業(日中省エネルギー等・環境ビジネス推進事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、日中省エネルギー・環境ビジネス推進事業に関する令和4年度の取り組みと成果について書かれた報告書である。

中国では「第14次5ヵ年計画」現代エネルギー体系計画が発表され、2025年までに非化石燃料による発電量比率を39%前後に到達させ、単位GDPあたりのエネルギー消費量を5年間累計で13.5%削減することを目標として設定している。また、新型エネルギー貯蔵発展実施方案では、2025年までに貯蔵システムのコストを30%以上低下させ、電気化学を用いた貯蔵技術の性能向上を図ることが明記されている。水素エネルギー産業発展に関する中長期計画も策定され、水素エネルギーの製造、貯蔵、輸送技術の発展が推進されている。

第16回日中省エネルギー・環境総合フォーラムは新型コロナウイルス感染症の影響により3年連続でオンライン形式で開催され、約870名の日中両国官民関係者が参加した。今回のフォーラムでは17件の日中協力モデルプロジェクトが発表され、過去に披露されたプロジェクトは累計430件となった。分科会では省エネルギー、環境保護、新エネルギー分野における技術協力と情報交換が活発に行われ、特に水素エネルギーや蓄電池技術に関する議論が注目を集めた。

日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会の枠組みを活用した懇話会が2回開催され、グリーンファイナンスをテーマとした議論が後のフォーラム全体会議にも反映された。また、日中省エネルギー・環境技術データバンクを活用したマッチング交流会が3回実施され、中国の国家級経済開発区グリーン発展連盟との間で覚書が調印される成果を挙げた。

今後の課題として、人的往来の再開が最重要項目として挙げられており、多くのプロジェクト担当者から対面での協議が不可欠であるとの声が寄せられている。また、中国における制度開示の透明性向上と日本企業間での情報共有の強化が求められている。省エネルギー分野では従来の大規模設備への提案から、モデルプロジェクトを通じた段階的な展開への転換が予想される。環境分野では汚染対策から石炭の高効率利用技術への協力に重点が移行し、新エネルギー分野では特に水素エネルギーの実装分野で日本企業への期待が高まっている。